筆跡鑑定 メールマガジン 第10号








★☆★「知らないと損する筆跡鑑定の話」第10号 ★☆★



◆筆跡鑑定の種類と依頼の方法



  今回は、筆跡鑑定の種類と依頼の方法などについて説明いたします。
  鑑定にかかわる内容としては、つぎのような種類があります。一応、私どもの方式を中
  心に説明いたしますが、他の鑑定人の状況についてもわかるものは説明いたします。


  @事前調査……鑑定に先立ち、鑑定をした場合の方向性を確かめることです。費用/\31.
  500円(消費税込み)


  A所見書……事前調査を簡単な書類にしたもの。費用/\42.000円(消費税込み)


  B簡易鑑定…裁判には使わないが真実を知るための鑑定。費用/\94.500円(5文字まで。
  追加は1文字/\20.000円) (消費税込み)


  C本鑑定……裁判所提出型の鑑定書。費用/\250.000〜(消費税込み)


  D反論書or意見書……相手の鑑定書に対するもので、費用はケースバイケースです。


  まず、「事前調査」ですが、これは、鑑定に先立ち、鑑定をしたらどのような方向にな
  るのかを把握するためのものです。遺言書などは、書き手は亡くなっていますから、依
  頼人は偽造だと信じていても、鑑定人の判断としてはそうでないこともあり得ます。


  そのような場合、調査をしないですぐに鑑定書作成に進む鑑定人も少なくありませんが、
  そうなると、結果として欲しくもない鑑定書ができてしまうこともあるわけです。それ
  では依頼人としては困ってしまうわけで、そういうことにならないよう事前調査で方向
  性を確かめるわけです。


  また、遺言書ではなく、借用証や契約書など、本人の説明があっても、署名したのか否
  かなどは依頼者が忘れていたりして、弁護士さんとしては、結果として誤った立場で法
  廷に臨んでしまうリスクもないとは言えません。



  ◆弁護士先生にとっての事前調査の役割


  このようなケースは弁護士さんとしては危険なことですから、このような場合も、依頼
  人のいうことを鵜呑みにするのではなく、事前調査で確認し安全な道を進むことも大切
  なことではないかと思います。


  事前調査は、このような場合に活用して頂きたいのです。費用は、その後、鑑定を行う
  場合は無料ですが、鑑定に進まない場合は、私どももそれなりの時間をかけて調査をし
  ていますので\31.500円(消費税含む)のご負担をお願いしております。


  ただ、事前調査は、あくまで事前の調査であり、鑑定結果の方向性が正反対になってし
  まうことはありませんが、「同一人の可能性が高い」と判断したものが、実際に鑑定を
  したら「同一人の可能性がある」と、少し後退してしまうようなことは無いとは言えま
  せんのでご理解を頂きたいのです。


  筆跡鑑定とは、学者が花弁を一枚一枚数えていって、その結果で「種」を突き止めるよ
  うな作業ですから、事前に予測をするのはやりたくはないわけです。しかし、依頼する
  立場に立てば困る場合もあるわけで、なんとか両者の希望が一致するようにと考えた妥
  協策なのでご理解頂くようお願いいたします。


  事前調査は、普通、口頭で説明いたします。ただ、口頭では困る、文書にしてくれと言
  われることもあり、その場合は、細かいようですが、1万円の実費を加算して、\42.00
  0円(消費税含む)で「所見書」になります。


  「所見書」は、普通A4用紙2枚に、鑑定事項や結果の予測を書いて私の署名捺印をし
  た形になります。事前調査も所見書も、ご相談をいただいてから2〜3日で回答するよう
  にしております。


  ところで、事前調査も所見書も通常1案件当たりの金額です。たとえば、疑問の遺言書
  が一つあり、それをAさんの筆跡か否かを調べるというのが1案件ということになりま
  す。


  しかし、ある疑問文書が1枚あり、それを書いたと疑われる者が5名いるので、その5
  名の筆跡を調べてもらいたいというようなケースがあります。このような場合、一応、
  1案件当たり2名までが基本料金、3名〜5名は50%を加算ということにさせて頂いて
  おります。


  事前調査でもう一つ重要なことは、全ての案件が解明できるとは言えないことです。や
  はり、稀には、極めて難しい案件で、実際に鑑定をしてみないと分からないというもの
  もあるということです。


  ◆「簡易鑑定」は、鑑定書の体裁を少し簡素にして安くしています


  世の中には、あまりお金は掛けてはいられないが、真実を知りたいというニーズがあり
  ます。事前調査では判断が難しいというのもその一つです。そういう場合に利用して頂
  くよう用意しているのが簡易鑑定です。


  たとえば、こんなニーズがあるのです。それは「実はとうの昔に片付いた遺言書問題で、
  もう時効だし騒ぎを起こす気はないのだが、どうも胸に引っ掛かって気持ちが良くない。
  はっきりさせたい。」というようなニーズです。お金の問題ではなく、気分的にスッキ
  リしたいというわけです。


  そこで、「なるほど良くわかります。しかし、鑑定書を作るといくら安くといっても20
  万以上はかかりますよ」というと「……そうですか。しかし、それほどお金をかける気
  にはなれないのです」ということで諦めてしまう方が少なくないのですね。


  そこで、確かにこのようなニーズはあるものだ……と私も気持ちはわかります。そこで、
  「胸のつかえを解消するためにいくらなら払えるだろうか」と考えて考案したのが94.5
  00円(消費税込み)という簡易鑑定です。簡易鑑定そのものは、他にもやっている鑑定人
  もいて、業界相場としては15万円程度のところが多いのです。


  また、弁護士さんとしては、裁判には使わないが、資料の性格をしっかり把握したいと
  いうニーズがある場合なども、この簡易鑑定は有効ではないでしょうか。


  ただ、注意して頂きたいのは、簡易鑑定というものに一定の形式があるわけではなく、
  簡易鑑定と称して私どもの所見書と同じことを(文字の検証内容は説明しない)5万円程
  度でやっている鑑定人がいますから、よく確認してご利用頂きたいと思します。


  私どもの簡易鑑定というのは、所見書とは異なり、「文字の検証」は鑑定書と同じに行
  います。ただ、法廷対応にはしていませんので、本鑑定との違いは、例えば「資料の性
  格と概観所見」という項目はありません。これは、全体的な印象を述べる部分で法廷で
  は大事な項目とされています。


  ですから、法廷には使わないが、費用を少し抑えて事実をしっかり調べたいというケー
  スにピッタリです。しかし、基準の5文字では足らないということもあると思います。
  その場合は、1文字2万円で何文字でも追加が出来るようにしています。


  さて、本鑑定です。普通「鑑定書」といえば本鑑定書のことです。これは、費用はケー
  スバイケースですが、基本的に30万円程度はかかり、納期は概ね2週間程度かかります。
  特にお急ぎの時はご相談頂ければ短縮できるときもあります。


  ◆対照資料の選定は大切です


  鑑定全般に言えることですが、大切なこととして、資料の性格があります。遺言書なり
  契約書なり調べたい資料については選択の自由はありませんが、比較対照する資料はい
  くつかの注意点があります。


  第一に、対照資料は、相手に否定されないものが大切だということです。例えばチラシ
  の裏に走り書きしたようなものだと、本人の筆跡かどうか当てにならない、日付も保証
  の限りでない、などと言われかねません。


  その意味で、役所に出した書類の控えだとか、銀行相手の書類の控えなど、本人である
  ことが疑いのないもの、日付のあるものなどが良い対照資料といえます。同様の意味で
  手紙・はがきなども消印がありますから効果的といえます。


  勿論、そのような資料が無ければ、取りあえずあるものを全て示して頂くより仕方あり
  ません。弁護士の先生は、法廷戦術を踏まえて資料を選択されることもあるでしょうが、
  アマチュアの方は、資料選択は鑑定人に任せて頂きたいと思います。そのほうが効果的
  なものを選択出来て有効です。


  また、対照資料はできるだけ3、4点はあった方が良いのです。1点しかないとすると、
  ある筆跡特徴を取り上げても、それが本当に書き手の筆跡個性なのか、たまたまの形に
  過ぎないのかが分かりません。しかし、2点あって、そこに共通した特徴が表れている
  とすれば、それは安定した筆跡個性として証拠能力が強くなるからです。



  最後に、ご依頼の具体的な流れですが、概ねつぎのようになります。


  @ ご依頼者から当方へ資料のご送付……郵便書留などでお送りください。


  A 当方から、「鑑定結果の方向」と「費用の見積もり」のご返事。ご納得頂いたらご
  依頼となります。


  B ご依頼者は着手金(総額の半分程度)のお振込。


  C 当方は鑑定書を作成。完成後書留などにてお届け。


  D ご依頼者は鑑定書を受け取り残金をお振込…………以上で終了となります。


  なお、これで終了と言いましたが、もちろんこれは、鑑定書作成に関してのことで、
  法廷尋問などが必要な場合もあり、すべてが終了しているわけではありませんから、
  良い人間関係を保つことが大切であることはいうまでもありません。


  ◆取引条件から鑑定人の質を判断する


  鑑定人の中には、依頼時に全額払いを要求する者がいます。比較的、調査業出身者に
  見られます。これは、問題として、どのような鑑定書が出来ても文句が言えない、言
  っても通らないという依頼者不利の方式です。逆に言えば、内容に自信のない鑑定人
  に多いようです。


  本来は、依頼人は鑑定人を信頼して半金を払う、鑑定人は依頼人を信頼して完成品を
  作る……という「相互信頼」で成り立つ方式がまっとうな取引形態ではないかと思い
  ます。


  次回は、クレジット会社の生々しい問題点をリアルにお伝えします。

                       この項終わり


 
一般社団法人・日本筆跡鑑定人協会   株式会社・日本筆跡心理学協会 
代表 筆跡鑑定人  根本 寛(ねもと ひろし)
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