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筆跡事件簿

Story 1 木嶋佳苗ってどんな人間?program

注 この文章は平成22年に書かれたものです。

一体何人殺しているのか

「結婚詐欺事件」として、半年間も名前を伏せて報道されていた「35歳女」がとうとう殺人の容疑者として逮捕され、名前もようやく公開された。

報道によると、彼女の周辺では分かっているだけで10件の事件があり、詐欺の被害額は1億円以上、死亡者は6人にもなるという。もしそれが全て解明されたら、和歌山カレー事件の死亡4人を抜いて史上最悪の事件になるだろうと言われている。

中学生とは思えないしっかりした筆跡

木嶋佳苗には、15歳のときの中学卒業文集の筆跡が公開されている。そこで、このような稀代の大事件を起こした人間とはいかなる人間なのか、筆跡心理学の研究家として、彼女の筆跡から追求してみるのも役割かなと思い少し紹介したい。

木嶋佳苗は、多くの犯罪者と異なり、もとは良い家庭のお嬢様である。子供のころからピアノを習い、家庭では時折演奏会も開かれるなど、地方では知られた家庭であったらしい。

中学3年生の筆跡は、成人とは異なるであろうか。……結論から言えば成人の個性の7割程度は表れていると考えてよさそうだ。筆跡とは、書き手の個性を反映したものだから、書き手の個性の確立度合いに対応している。その意味で考察すると、15歳という年代は成人の7割程度は個性が確立していると考えてよいと思われる。

犯罪者には珍しく「ハネ」が強い

以上のような前提で彼女の筆跡を点検すると、第1に、非常に整ったしっかりした書体である。中学3年生にして大人並の達筆といっても良いほどである。書道の素養もありそうだ。

第2の特徴として印象的なのは「ハネが強いこと」である。犯罪者の多くはハネを書かない。秋田の畠山鈴香も、昨年の中田カフスへの脅迫状もハネは書かれていない。特に中田カフス事件は、非常に筆圧の高い粘着気質を想定させる筆跡にもかかわらずハネはないのである。

木嶋佳苗の筆跡

ハネとは、最後まで力を抜かない書き方だから、ものごとに対する執着心の強さや粘り強さ、転じて責任感のある性格につながるものといえる。

だから、そのハネが犯罪者にないのはわかるような気がするが、木嶋佳苗の筆跡でハネが強いというのは異例である。まともな家庭の育ちであることや書道の素養があるためかも知れない。


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