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筆跡事件簿

Story 1 木嶋佳苗ってどんな人間2program

注 この文章は平成22年に書かれたものです。

「強烈な執着心」

提示した文字では「木」の字や「読」の字に表れているが、その他「学、歳、氣」などハネのある文字は全てしっかりと書かれている。確かに今回の事件を見ると、しっかり準備をして行動するなど、目的に対する粘り強い執念を感じさせる。

第2に、「木」や「読」の文字で、横線の上に縦線が突出する部分を見ると、縦線の起筆部分にヒネリが書かれ、かつ、縦線が長めである。ヒネリは、良く言えば「信念」、悪く言えば「我の強さ」を表している。

書道では軽いヒネリを推奨する。書を書くというメリハリを尊重するからだろう。しかし、木嶋佳苗のように真横に強く引くというような書き方ではない。これはやはり、木嶋佳苗の性格の反映といえる。

横線の上に突出する縦線が長めなことは、平凡では納まらないという野心の強さを表している。本人も自覚していない深層心理にあるものが表出するのである。新聞では「東京セレブ生活に執着」と書かれているが、そういう野心の強さを表している。

第3の特徴は、「佳」や「読」の「偏とつくりの間の隙間が狭いこと」である。このような隙間が狭いことは、自分の考え方に固執し、他人の意見を受け入れることや、自分の考えと合わなければ常識にも従わない頑固な性格を示している。

このように見てくると、木嶋佳苗は、並ではない「我の強さと強い野心的な欲求」があり、自分の求めるものは是が非でも手に入れようとする「強烈な執着心」の持ち主であることが分かる。

肉食獣のような独特の行動力

最後に、非常に変わった特徴として、「映画鑑賞」の文字で「画」と「鑑」の字間だけが極めて狭くなることがある。この変わった特徴は、この文字だけに表れたものではなく、A4サイズにフルに書かれた文章中に10箇所以上も表れる。

この変わった癖は何を示しているのだろうか。この書き方を日常行動に置き換えると、たとえば時速50キロで車を運転していて、ときどき急にスピードを上げるというような行動と考えられる。

あるいは、肉食獣が獲物を狙って静かに近づき、捕える瞬間、凄いスピードで飛びかかるというような行動を連想させる。

つまりこの癖は、日頃、概ねは常識的で平静な行動をしているが、それだけでは持っている心理的エネルギーが十分に発散しきれない。その溜まったエネルギーを放出するという表れのように思われる。いずれにせよこの独特の行動に、次々と犯行を重ねた「稀代の毒女」の資質の一端を見るような気がする。

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